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■ごきげんポイント
- 倍音で“音を壊さずに前に出す”処理が可能
- Mid/Sideやステレオ幅の制御も含め、精密な操作ができる
- Subtle/2nd切り替えやフィルター設定など、細かいニュアンスに対応
- 比較的負荷は軽めで、実用性が高い
■いまいちポイント
- 説明のないと分からないボタンがある
- 処理が自然すぎて「変化が分かりづらい」と感じる場面も
- 通常価格($199)は正直高額で手が出しにくい
Weiss Exciter レビュー|“音を壊さずに、前に出す”とはどういうことか
SoftubeのWeissシリーズには、昔から「マスタリンググレード」「高精度」といった言葉がつきまといます。
ただ正直に言えば、見た目はどこか“実機っぽい見た目を安くした”ような印象で、第一印象では「扱いやすそう」と思える類のUIではありませんでした。
Weiss Exciterもその例に漏れず、実機を意識したようなデザインで、初見ではボタンの効果がよく分からず、マニュアルを見る必要がありました。
ですが、構造自体はシンプルに整理されており、一度理解すれば扱いやすい設計だと思います。
Weiss Exciterは何をするプラグインか?
Weiss Exciterは、倍音(特に中高域)を人工的に加えることで、音の明瞭さや前に出る感じを作るプラグインです。
いわゆる“エキサイター”というジャンルに分類されますが、世の中には似たような役割の製品が多く存在します。
- Tone Projects「Kelvin」…倍音と温かみを加える音楽的サチュレーター
- Wavesfactory「Spectre」…EQ的操作で倍音をブースト
- iZotope「Ozone Exciter」…帯域別に精密な倍音処理が可能
Weiss Exciterは、それらの中でも「音を壊さずに前に出す」という一点において、特化した存在だと感じました。
GUIについての印象と補足

GUIはWeissシリーズ共通の、やや“実機っぽい見た目を安くした”ような印象です。
初見ではボタンの効果がよく分からず、マニュアルを見る必要がありました。
全体的に構造は整理されていますが、ある程度の“慣れ”を前提とした作りにも感じられました。
GUIの主な要素(参考:公式マニュアル)
- Controlセクション(M/SやCh1/Ch2):ステレオ処理と左右独立操作の選択
- Harmonics:倍音の種類(偶数次中心かどうか)を選択
- Subtle:処理を穏やかに抑える
- Exciter Amount:倍音の付加量を調整
- Linear Phase:位相補正の有無
- Masteringボタン:フィルター設定をマスタリング用途向けに切り替え
- Monitor:処理前後の差分などを試聴
- Width:ステレオ幅の調整
- 入力信号の周波数帯域(Focus Band):倍音を抽出する帯域を指定
- 倍音の出力周波数帯域(Output Band):出力信号に倍音を付与する帯域を指定
一見地味なUIながら、マスタリングレベルで求められる精密な処理が詰め込まれている印象です。
他製品との比較と、用途に応じた代替性
「音を前に出す」系のプラグインは他にも存在しますが、以下はWeiss Exciterと比較して参考になった製品です。
製品名 | 特徴 | Weissとの違い |
---|---|---|
Ozone Exciter | 精密な帯域別倍音処理 | ややキャラが出やすい |
Spectre | EQ操作型の倍音ブースター | 音の変化が積極的 |
Kelvin | 柔らかく音楽的な倍音付加 | 色が乗る/自然さとは違う方向 |
VSM-3 | ハーモニクスをブレンド | 歪みによる存在感強調が主目的 |
“音をあまり変えずに自然に明瞭感を与える”処理において、Weiss Exciterは非常に独自性があると感じました。
なお、この比較製品の中にもし初めて聞いた名前があれば、Weiss Exciterの検討に加え、どんな製品か調べてみる価値のあるものばかりだと思います。
代替可能か?という問いへの答え
Weissシリーズの他の製品(Limiter, Compressor, Deesserなど)については、DMG Audioの製品群で機能的に相当するものがあり、むしろ柔軟性や処理精度の面で上回ると感じる場面もあります。
新規で導入する場合はどちらを選んでもよいと思いますが、すでにDMG製品を持っているなら、あえてWeissシリーズを買い足す必要はないと思っています。
特にLimitless、Multiplicity、Essenceならば、マスタリング品質の処理が十分に行える印象です。
しかしExciterに関しては、前項で比較した製品と差し替えると「どこか違う」結果になる印象があり、音を壊さず自然に前に出す処理として、今のところ唯一無二だと感じました。
結論と購入のタイミングについて
価格は通常199ドル、イントロセール時は99ドル前後でした。
Softubeは年2〜3回のセールがほぼ確実にあり、割引率も悪くありません。
そのため、デモ版で試して「必要だ」と確信したときに買えばよいと思いますし、バンドルを狙うのも手です。
Weiss Exciterは、焦って買う必要はないけれど、必要になったときに後悔しないために“買えるときに買っておく”価値はある一台だと思っています。
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