
『以降』と『以来』の違い、ちゃんと説明できますか?
「2023年4月1日以降」「先週以来」…
どちらも「ある時点から先」を表しますが、使う場面を間違えると、ちょっと変な日本語になってしまいます。
今回はこの2つの言葉の使い分けを整理します。
辞書的な意味
以降
・基準となる時点を含めて、それより後の時間や順序を表す。
・過去にも未来にも使える。
・例:「4月1日以降は新制度を適用」「事故以降、交通量が減った」
以来
・過去の特定の時点を起点に、現在まで継続している状態を表す。
・未来には使えない。
・例:「卒業以来、会っていない」「禁煙以来、体調が良い」
見分け方のポイント
どちらも「ある時点から先」を表すため、直感では区別しづらいですが、以下のポイントを抑えると見分けられるようになると思います。
- 以降:未来にも過去にも使える。
- 以来:未来には使えず、過去から現在までの継続を表す。
- 継続のニュアンスがあるのは「以来」。
- 過去の出来事を起点に、その後のどこかの時点で起きた出来事は「以降」が適切。

例文で確認
例1:未来に向けた出来事
×:この規則は2023年4月1日以来、改訂されます。
○:この規則は2023年4月1日以降、改訂されます。
「改訂されます」は未来の予定なので、「以来」(過去から現在まで継続)は使えません。
例2:過去から現在までの継続
×:彼とは去年の文化祭以降、会っていない。
○:彼とは去年の文化祭以来、会っていない。
「文化祭の日から現在までずっと会っていない」という継続の意味なら「以来」が自然。「以降」も使えるが、単に“その日より後”という広い意味になるため、継続のニュアンスは弱くなります。
例3:基準日を含めた過去の出来事
×:台風以来、この地域では避難計画が変更されました。
○:台風以降、この地域では避難計画が変更されました。
「以来」だと「台風があった日から現在までずっと変更され続けている」意味に聞こえます。ここでは「台風後のある時点で変更が行われた」という出来事を述べているため、「以降」が適切です。
まとめ
- 未来の出来事や、過去の出来事を基準にその後の事象を述べる → 「以降」
- 過去のある時点から現在まで継続していることを述べる → 「以来」
- あいまいに感じたら、「現在まで続いているのか」「未来に向けた話なのか」で判断すると迷いにくくなります。