
業務文章を書いていると、
「適切」と「適正」のどちらを使うべきか迷う場面があります。
どちらも“よさそうな言い回し”ですが、
実は 指す領域が異なる ため、誤用されると意味が大きく変わってしまいます。
この記事では、二つの違いを分かりやすく整理し、
仕事で失敗しないための使い分けをまとめます。
■ 結論:違いはここにあります
● 適切(てきせつ)
→ 状況・目的に合っていること
今の状態・場面に対して「ふさわしい」「合っている」というニュアンス。
● 適正(てきせい)
→ 基準・規範にかなっていること
基準・ルール・望ましい水準に“合致しているか”を問う言葉。
■ 意味の違いをもう少し詳しく
◎ 適切
- 状況とのマッチ度を見る
- 目的に対して“ズレていないか”を確認する
- 柔軟な判断が含まれる
- 「この場面にふさわしいか」
例
- 適切な距離を保つ
- 適切な判断を行う
- 適切なサポート
「状況に合わせて正しく選ぶ」イメージです。
◎ 適正
- ルール・基準・規格に合っているか
- 客観的な“基準値”がある
- ズレがあると不正・誤差・不備になりうる
- 「正しい基準に沿っているか」
例
- 適正価格
- 適正人数
- 適正な手続き
- 適正体重
「基準ラインに適合している」ニュアンスです。
■ 使い分けのポイント(早見表)
| 用語 | 指すもの | ニュアンス | 例文 |
|---|---|---|---|
| 適切 | 状況・目的 | “ふさわしい” | 適切な対応をお願いします |
| 適正 | 基準・規則 | “基準に合う” | 適正価格で提供します |

■ 誤用例と、正しい置き換え
❌ 誤用
「このサービスは適切価格で提供しています」
→ “価格”は基準・相場で決まるため 適正価格 が自然。
✔ 正しい例
「このサービスは適正価格で提供しています」
❌ 誤用
「適正な判断を行ってください」
→ 判断は状況に応じるため、基準よりも“ふさわしさ”が重要。
✔ 正しい例
「適切な判断を行ってください」
■ 例文でさらに理解を深めましょう
● 適切(状況との一致)
- ご不明点があれば、適切にサポートいたします。
- お客様の状況に応じ、適切なご案内を行います。
- 現場の状況を踏まえ、適切な距離を取ってください。
● 適正(基準への一致)
- 参加人数は適正な範囲内に収める必要があります。
- 商品は適正価格で販売しています。
- この手続きは法令に沿った適正な方法で行います。
■ 固定表現
- 適正価格
- 適正体重
- 適正検査
- 適正処理
→ これらはすでに「基準の合致」が前提のため、“適切”に置き換えると不自然になります。
■ まとめ
- 適切:状況とのマッチ(ふさわしさ)
- 適正:基準との合致(正しさ)
文章では似た表現が増えがちですが、
二つの特徴を押さえておくと、文章の精度と説得力が大きく変わります。
ぜひ、日々の業務で意識してみてください。

