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■ごきげんポイント
- Auto-Leveler を搭載しているのは好印象。ボーカルのゲインステージングが手間なく整えられる。
- EQの操作性が良く、直感的に目的の音に近づけられる(リファレンスEQのような感触)。
- 全体を通して音の痩せや違和感のある処理が見られず、素直な音質変化。
■いまいちポイント
- 動作負荷はやや高め。個別モジュールをオフにしてもCPU使用率に大きな変化が見られなかった。
誰に向いているか?
Pulsar Vocal Studioは、ボーカル処理をよりスムーズに、かつ一貫性をもって行いたい制作者に向いています。
特に、以下のような方におすすめです:
一方で、各エフェクトはある程度簡略化されているため、EQやコンプレッサーの構造を深く学びたいという方には不向きかもしれません。
はじめに
Pulsar Audioといえば、Muや1178などの高品質なダイナミクス系プラグインで知られており、その製品群には一定の信頼感があります。
今回リリースされた「Pulsar Vocal Studio」は、その名の通りボーカル専用の統合系プラグイン。詳細な情報が出回る前から、「これはチェックしておかねば」と思わせるだけの期待値がありました。
実際に試してみると、単なるオールインワン型ではなく、“音を壊さずに扱いやすく仕上げる”という方向性がしっかり見えてくる設計でした。
サウンドとキャラクター

Pulsar Vocal Studioは、全体的に“自然さ”を大切にした処理を行う印象です。
EQやコンプレッサーなどの各モジュールは、ボーカルを前に出しつつも、音を過度に変質させないバランス感覚があり、録音された声の魅力を活かす方向で働いてくれます。
特に良いのは、音が痩せたり破綻することがほとんどなく、「やりすぎない」方向性をキープしてくれる点。ボーカルを“整える”ことに主眼を置いた設計です。
その一方で、元の声に粗さがある場合には、それをそのまま出してきます。たとえばPulsar Muのような力技でねじ伏せるような芸当は得意ではなく、ある程度整った録音素材を前提としたチューニングといえそうです。

また、「Special FX」セクションは、彩りを加えるための飛び道具的な役割を担っており、ボーカルトラックに軽い味付けやユニークなニュアンスを加えたい場合に重宝するでしょう。
操作感・機能
Pulsar Vocal Studioは、シンプルな画面構成ながら、一通りのボーカル処理を1画面で完結できる設計が魅力です。
操作面でまず好印象なのは、各ノブが大きく視認性に優れており、マウス操作も快適に行える点です。
特にEQセクションは、カーブの描画が滑らかで視覚的にも分かりやすく、音の変化が直感的に理解できる表示となっています。
また、Auto-Leveler(自動音量調整)機能が標準搭載されている点も好印象です。ボーカルの録音素材によっては、入力レベルの調整に手間取ることがありますが、この機能により安定した処理を前提に作業を始めやすくなっています。
一方で、文字サイズはやや小さめで、全体的に情報が詰め込まれている印象もあり、モニター環境によっては視認性に難があるかもしれません。特にラベルやスイッチ周りは、もう少し余白があると快適に感じられそうです。
また、やや気になった点として、プラグインの処理負荷は比較的高めであり、個別モジュールをOFFにしてもCPU使用率が大きく下がるわけではありません。軽量さを重視する環境では、導入時に注意が必要です。
まとめ
Pulsar Vocal Studioは、ボーカル処理に必要な機能を1つにまとめた、即戦力型のオールインワンプラグインです。
特筆すべきは、「やりすぎない」方向性を一貫して保ちつつも、音を自然に前に出す力を持っていること。EQやコンプでガッツリ作り込むというよりも、ボーカルの素材感を大切にしながら整えるスタンスが感じられます。
Auto-Levelerの搭載や直感的に操作できるノブ配置など、録音後すぐに整音に入れる快適なワークフローも魅力です。一方で、攻撃的な声質や粗めの録音素材には対応しきれない場合もあるため、用途には少し注意が必要です。
機能的には丁寧に作られていますが、処理負荷が比較的高い点や、UIがやや詰め込まれた印象もあり、環境によっては調整が求められるかもしれません。
とはいえ、ナチュラルに整ったボーカルミックスを短時間で仕上げたい方にとっては、非常に有力な選択肢になるでしょう。特に宅録ボーカリストやDTM中級者にとって、「この1本で済ませたい」ニーズに応える設計です。
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