
「考慮してください」「配慮をお願いします」。
どちらもビジネスでよく使いますが、実は意味の軸がまったく違います。
本記事では、迷いやすい2語の違いを簡潔に整理し、メールで誤用しないためのポイントを紹介します。
■ 結論
- 考慮=判断・計画の際に「材料として含める」
- 配慮=相手や状況に「気遣いを向ける」
■ 「考慮」
数字や条件など、判断に使う“事実”を取り込むこと。
例文
- 「納期を考慮してスケジュールを組み直します。」
- 「リスクを考慮したうえで方針を決定します。」
■ 「配慮」
人の気持ちや状況に寄り添い、思いやりを向けること。
例文
- 「体調に配慮し、会議をオンラインに変更します。」
- 「新人の負担に配慮して業務を調整しました。」
■ 「考慮すべき点」と「配慮すべき点」
◆考慮すべき点
事実・条件・数字など、冷静な判断項目
(例:工数、リスク、コスト、契約条件)
◆配慮すべき点
人への影響や負担、気持ちに関わる項目
(例:体調、心理的負荷、相手の事情)

■ 誤用されやすいシーン
❌ 誤用例1
「ご迷惑をおかけしないよう考慮します」
→ 気遣いなので 配慮 が正しい。
✔ 正しい例
「ご迷惑をおかけしないよう配慮します」
❌ 誤用例2
「工数に配慮して、納期を決めてください」
→ 工数は“条件”なので 考慮 が自然。
✔ 正しい例
「工数を考慮して、納期を決めてください」
❌ 誤用例3
「お客様の希望を考慮して、柔軟に対応します」
→ “希望”は多くの場合、気持ち・要望=配慮の対象。
✔ 正しい例
「お客様の希望に配慮して、柔軟に対応します」
補足:
「希望」という言葉は、気持ちを尊重する場面では「配慮」が適切です。
一方で、「希望内容を条件として扱い、判断材料に加える」場面では「考慮」が使われることもあります。
つまり “気持ちを汲む” のか “情報として扱う” のかで使い分ける と、文脈に合った表現が自然に選べます。
■ まとめ
- 考慮=事実や条件の検討
- 配慮=人や状況への気遣い
- 誤用は「気遣い」と「条件」の混同から生まれる
- メールでは
- 「○○を考慮し」
- 「○○に配慮し」
と書き分けると明確で読みやすい

