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Boz Digital Labs Sasquatch Kick Machine 2|既存キックを“再設計”する同期型キックシンセ

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■ごきげんポイント

  • 操作が非常にシンプルで、迷わない
  • 「何をするプラグインか」が明確
  • 触っていて純粋に楽しい(実験欲を刺激する)

■いまいちポイント

  • 既存の低域補強系プラグインとは思想が違うため、用途を誤解しやすい

誰に向いているか?

  • キックを“補強”ではなく“設計”したい人
  • EDM / IDMなどでキックを楽曲の主役にする人
  • 音作り段階で低域を積極的に実験する人

逆に、

  • ミックス段階で軽く低域を足したい人
  • 生ドラムの自然な補強だけを求める人

には方向性が違います。

はじめに

キックの低域を扱うプラグインは数多く存在します。
サブを補強するもの、倍音で“聞かせる”もの、サンプルに置き換えるもの、ゼロから合成するキックシンセ──それぞれに役割があります。

Sasquatch Kick Machine 2は、そのどれとも少し違います。

  • bx_subsynthのような補強系ではありません。既存低域を増強するのではなく、新しい低域を合成します。
  • Addictive Triggerのような置換系でもありません。サンプル再生ではなく、リアルタイム合成です。
  • Kick 2のような純粋なキックシンセとも異なります。MIDIだけで鳴らす楽器ではなく、既存オーディオのキックに同期して動作します。

位置付けとしては、

「既存キックをトリガーにする、同期型キックシンセ」

というのが最も近い表現だと思います。

つまり、ミックスで後から整えるツールというより、アレンジ段階でキックを再設計するための装置
ここを誤解すると評価を間違えますし、理解すると面白さが見えてきます。


サウンドとキャラクター

Sasquatch Kick Machine 2は、3つのレイヤーで構成されています。

1. Oomph(低域ジェネレーター)

Oomphは新しい低周波を生成し、元キックのエンベロープに追従します。
波形は Sine / Triangle / Square / Saw の4種類から選択可能で、さらに上下波形を別々に設定する「アンリンク」機能もあります。

  • Root Tone(Tone Generatorの左の”<“):キックの基本音程
  • Drop Tone(Tone Generatorの右の”>”):打撃瞬間の高い初期ピッチ
  • Drop(時間):初期ピッチからRootへ落ちる速度
  • Attack / Sustain:エンベロープ制御
  • Round:高調波成分の制御(音が鋭くなりすぎたときRoundコントロールを下げる)

マニュアルでは、より自然な挙動を得るためのDrop時間は10–25msが推奨されています。
この値を高く設定すると、ベースドロップになります。

また、MIDI Followを有効にすると、Oomphの音程をMIDIノートに追従させることができます。
MIDI Triggerと独立して動作するため、音程変更だけを行うことも可能です。


2. Click(アタック生成)

Clickはビーターノイズを合成します。

  • Sustain
  • High Pass / Low Pass
  • Resonance

によってアタックの硬さや存在感を調整できます。


3. Masterセクション

  • Bass Boost(Bark of Dog 2由来アルゴリズム)
  • HPF
  • Limiter

生成した低域と原音の整理まで一体化されています。


4. Triggerセクション

トリガーモードは3種類:

  • Transient
  • Volume
  • MIDI

さらに、HPF / LPF / BPFで検出帯域を制御可能。
既存キックのどの成分で発動させるかを設計できます。


音の性格まとめ

  • 低域は“足す”というより“作る”
  • ピッチドロップにより物理的インパクトを設計可能
  • 波形選択により電子寄りのキャラクターも出せる
  • トリガー精度を設計できるため、追従性は高い

クリーンで自然な補強ツールというより、設計型のキャラクターツールです。

ジャンル適性

Sasquatch Kick Machine 2 は、ジャンルによって評価が大きく分かれます。

◎ 相性が良い

  • EDM
  • Trap
  • Future Bass
  • Techno
  • IDM
  • シネマティック(電子寄り)

理由は明確です。
キックのピッチドロップ設計音程制御が、音楽的なキャラクター作りに直結するからです。

特にMIDI Followを使えば、曲のキーに合わせたキック設計が可能になります。
キックを“リズム要素”ではなく“音高を持つパート”として扱う音楽では有効です。


✕ 不向き

  • ジャズ
  • アコースティック中心
  • ナチュラル志向のミックス

補強ではなく再設計だからです。


他製品との比較

製品役割音作り思想Sasquatchとの関係
bx_subsynth低域補強サブ生成役割が違う
Addictive Triggerドラム置換サンプル再生方式が違う
Kick 2キックシンセMIDI合成近いが同期思想が違う
SubLab XL808シンセMIDI合成用途が違う

結論:

Sasquatchは
「既存キックを入力とする、同期型キックシンセ」という独自枠。

完全代替は存在しません。


まとめ

Sasquatch Kick Machine 2 は、

  • サブ補強ツールではない
  • ドラム置換ツールでもない
  • 単なるキックシンセでもない

既存キックをトリガーに、
低域とアタックを再設計するための装置です。

キックを設計対象として扱う人にとっては面白く、
そうでない人には刺さらない。

用途がはっきりした、個性の強い製品だと感じます。

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