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Expressive E Soliste Suite レビュー|酔えるモデリング音源、だけど演奏難易度高め

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🎁 ごきげんポイント/いまいちポイント

■ごきげんポイント

  • みずみずしくて弾いていて気持ちいい音色
  • ソロ向きのチューニングでポップスでも埋もれない
  • 容量が非常に軽く、立ち上がりが早い

■いまいちポイント

  • モジュレーション表現が難しく、MIDI鍵盤前提
  • 打ち込みで魅力を出すにはテクニックが必要
  • パラメーター操作の敷居が高く、慣れが必要

🎯 誰に向いているか?

  • 鍵盤が演奏できる中級者以上のDTMer
  • バンドサウンドやシンセ系楽曲に映えるソロストリングスを求める方

逆に、オーケストラアンサンブルのリアル再現や、簡単操作でストリングスを鳴らしたい初心者にはあまり向かないかなと思います。


🪄 はじめに

Soliste Suiteは、が展開する物理モデリング弦楽器シリーズ。
バイオリン/ヴィオラ/チェロ/コントラバス(ダブルベース)の4種が収録されており、単品でも購入可能。
サンプリングではなくモデリング方式を採用しており、各音源が16MB程度という驚異的な軽さなのがまず驚きでした。

また、演奏について面白いと感じたのが、モジュレーションホイール(および同等機能)で操作されるのがよくあるビブラートではなく、ボウイングの強さ(音量)であること。
鍵盤のベロシティはアタックをコントロールし、その後のボウイングによるクレッシェンド・デクレッシェンドはモジュレーションホイールの上下でコントロールされるのは非常に音楽的に感じました。

そしてもうひとつの注目点は、専用ハード「Osmose」などとの連携
独自の機能によって、弓の動き(ボウイング)を再現する仕組みは、従来のストリングス音源とは一線を画しています。(ハードは持っていないので動画を見ての印象です)


🎻 サウンドとキャラクター

まず一聴して感じるのは、“みずみずしさ”と“鮮やかさ”
木の枯れた、オールド楽器をシミュレートする方向性ではなく、ピックアップを通しアンプでつないだ、BondやLindsey Stirlingのような“映えるソロ”に近い音色です。
ポップスやシンセ主体のトラックに重ねても埋もれず、存在感を保つ点は大きな魅力。

自分が演奏するのでコントラバスは余計に気になるのですが…
音はとても綺麗なのですが、“ホールなどの空気を伝わってきた低音”というよりは、アンプで鳴らした低音という感じでした。
こちらにソロコントラバスの音源、気づいたものをリンクしているので比較にどうぞ。


🎛 操作感・機能

ここが本製品最大のクセでもあり、面白さでもあるポイントです。

Soliste Suiteは、モジュレーションホイールでボウイング=音量・表情をコントロールする方式が基本。
そのため、MIDIノートを並べただけではほとんど音が出ません。
MIDI鍵盤がほぼ必須であり、できればMPE対応キーボードが望ましいという設計です。

専用鍵盤「Osmose」(約30万円)は、それらを最大限に活かす環境として設計されており、真価を引き出すなら欲しいとことです
そのため、通常のMIDI鍵盤で操作する場合はもどかしさを感じるかもしれません。

打ち込みのみでモジュレーション パラーメーターを手書きするなら、既存の音源の方が楽かもしれません。

結構細かいことまで設定が可能です。物理モデリングだからでしょうか。

【右手(b)ow】= 弓の操作・音量・アタック関連

【(a)ttack】

  • DYNAMIC:アタック時の音の強さ(モジュレーションに対する音量反応の深さ)
  • VELOCITY:ノートオン時のベロシティの影響度(高いほど打鍵の速さで強弱が変化)
Attack Options(下部4項目):
  • VEL(Short / Medium / Long):アタックの長さ(ストローク時間)を決定
  • MUTE:発音タイミングでミュート表現の有無を選択(動画では短くカツっと止まる効果)
  • ATTACK SHAPE:アタックのカーブ(尖った音にするか滑らかにするか)
  • SMOOTH:音の立ち上がりの滑らかさ(0%で鋭く、100%でふわっと)

【(e)xpression】

  • Dynamic Ball(中央の黒丸):演奏中の音量表現。モジュレーションホイールなどでリアルタイム制御
    → ボウイングの強さと速度を同時に反映(=弓を押す・動かす感覚)

【linking (n)otes】

  • LEGATO:ノート間の滑らかさを制御
     ON=スムーズにつなぐ(レガート)、OFF=スタッカート寄り
  • TIGHTNESS:ノートの切れ目・レスポンス感(値が高いとキビキビ切れる)

【ad(v)anced】(より詳細な右手コントロール)

パラメーター名説明
Bow Position弓の位置(指板側/駒寄り)で音色変化
Bow Intensity弓の“熱量”のようなパラメーター(速度×圧力)
Bow Accentsアクセントを付ける強度(弓を強く当てる感じ)
Bow Pressure弓の圧力。音の輪郭やノイズ感に影響
Bow Noise擦弦ノイズの量(大きいほど生々しい)

※いずれも ATT(アタック時)/EXP(演奏中)/SENSI(感度) で独立制御

【左手(p)itch】= 音程・ビブラート・ポルタメント

【(a)ssisted vibrato】

  • Amplitude:ビブラートの振れ幅
  • Speed:ビブラートの速度
  • Fade in Type(Continuous / Blend):徐々に効かせるか、一部手動表現と混ぜるか

→ MIDI演奏に自然なビブラートを後から付加可能。CC操作の表現補助として有効


【(p)ortamento】

  • ON/OFF:スライドの有無(ONで音程を滑らかにつなぐ)
  • Velocity Meter:ポルタメントをかける時間と発動の速さを表示
     ※打鍵の強さやタイミングに応じて効果が変わる

奏法はキースイッチではなくプリセットとして用意されています。
いろいろな奏法を交えた演奏をさせようと思った時には手間になると思います。

プリセットの基本構成

◎ (c)classic

  • クラシックな持続音(サステイン)中心の基本モード
  • 選べるサブモード:
    • Expressive Bow:表情豊かな弓の動きが強調される
    • Virtuoso:高度な演奏技術に対応(MPE対応を活かす時など)

◎ (s)specific(特殊奏法系)

  • Sul ponticello:駒寄りで鋭い音
  • Sul tasto:指板寄りで柔らかい音
  • Tremolo:細かい揺れ(震え弓)
  • Pizzicato:弓ではなく“はじく”奏法
  • Bartok / Col Legno:打楽器的奏法(弦を叩くなど)

◎ sho(r)t(短音系)

  • Spiccato / Staccato:短く切る弓使い
  • Martelé:強く歯切れよく止める奏法
  • Staccassimo:極端に短い発音

ボウイングなどの設定と比べると簡素ですが、もコントロールすることができます。

effects セクションの構成と役割

Equalizer(イコライザー)

  • LOW FREQ / GAIN:低音の帯域と増減(重さや厚み)
  • MID FREQ / GAIN:中域の帯域と増減(存在感、鼻詰まり感の調整)
  • HIGH FREQ / GAIN:高域の帯域と増減(明るさや抜け感)

Timbre(音色キャラクター調整)

  • Brightness(明るさ):高いとシャープ/低いとまろやか
     → EQとは異なり、倍音のキャラクターを丸ごと変化させる印象です。

 ポイント:表現よりも“印象”を調整したいときに便利。


Reverb(リバーブ)

  • Dry/Wet:エフェクトのかかり具合
  • Preset:ホールタイプの選択(例:Concert Hall Yorkなど)

🔚 まとめ

酔えるほど気持ちいい音、だけど演奏が難しい
これがSoliste Suiteに対する率直な印象です。

打ち込みでは思ったように動かせず、購入しても公開残るのではないかと思いますが、中低域の伸びが強い音色は映える音だと思います。
ポップスやエレクトロ楽曲で、ソロストリングスを“主役にしたい”制作者には一聴の価値ありです。

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