
文章を書くときに登場する “ほそく”。
漢字では 「補足」 と 「捕捉」 の2種類があります。
多くの方は、漢字を見れば何となく意味は推測できると思います。
それでも文章上で誤りが出やすいのは、
変換時に並ぶ二つの候補がよく似ているからでしょうか。
つまり、迷いやすいポイントは“意味”ではなく 誤変換。
その誤変換を防ぐためにも、ここで一度
「ほそく」の正しい使い分けを整理しておきましょう。
■ 結論
● 補足(ほそく):足りない部分を “付け加えて補う”
● 捕捉(ほそく):逃さず “とらえる・把握する”
まずはこの違いを押さえれば十分です。
■ 1. 「補足」= 情報を補う・追加する
「補う+足す」から成り立つ通り、
説明・情報に“付け加える”ときに使う言葉 です。
✔ よく使う場面
- 補足説明
- 補足資料
- 補足事項
✔ 例文
- 「誤解がないよう、前回の説明に補足します。」
- 「詳細は補足資料をご確認ください。」
いずれも“追加して補う”という行為です。
■ 2. 「捕捉」= とらえる・把握する
「捕+捉」という漢字の通り、
対象を“逃さずとらえる・把握する”こと を表します。
一般文章ではあまり見かけませんが、
技術・科学・観測などの分野で頻繁に登場します。
✔ よく使う場面
- 衛星信号を捕捉する
- レーダーで位置を捕捉する
- 微弱な電波を捕捉する
✔ 例文
- 「新型センサーは小型ドローンの位置を捕捉できる。」
- 「衛星の信号を捕捉するまでに5分かかった。」
“追加する”ではなく“とらえる”行為であることが分かります。

■ 3. 誤用が生まれやすい理由
意味を知れば別物ですが、誤用が起きるのは次の理由がほとんどです。
- 音が同じ(ほそく)
- 変換候補が並ぶ位置に出る
- どちらも“正しそう”に見えてしまう
特に見かけるのは次の誤りです。
❌ ありがちな誤用
- 「説明を捕捉します」 → 正しくは 補足
- 「議事録に捕捉を追加しました」 → 正しくは 補足
“把握する”ではなく“追加する”行為なので、補足一択となります。
■ 4. 迷わない覚え方
直感的な切り分けは次の2つです。
● 補足 → 足りない部分を “補う”
● 捕捉 → 対象を “捕まえる・捉える”
「ほ」の字が同じでも、
“にんべん” か “てへん” か を意識すると区別しやすくなります。
■ むすびに
今回の「補足/捕捉」は、
意味の混乱よりも“誤変換による誤用”が起きやすい語ペア です。
ビジネス文章やメールでは、誤字は印象を大きく左右します。
変換候補を一度確認しながら、正確に使い分けていきたいですね。

