
DAW付属のプラグインで十分……というのはよく聞く話ですが、
制作やMIXを進めていく中で「もう少しこうなれば」という場面が出てくるのも自然なことだと思います。
このページでは、そんなときに自分が実際に導入して、現在も使っているプラグインをいくつか紹介しています。
あくまで自分の使い方に合った選択の記録ですが、買い足しを検討されている方のヒントになれば幸いです。
🎛 第1章:EQ – 整音と彩りのバランスで選ぶ
■ 判断基準
EQは「何にどう使うか」で性能の求め方が大きく変わる。
整音(カット・補正)を主軸とする場面では反応性・可視性・精度が重要。
一方、音楽的な「色付け」や「存在感の付加」には、音の重なりや質感の違いが効いてくる。
自分は役割分担を明確にし、最小限の構成で用途を固定する方針で運用している。
■ 使用製品
製品名 | 主な用途 | 備考 |
---|---|---|
EQuick(DMG) | トラック用整音EQ | 速さと視認性重視。立ち上げ時間ゼロ。 |
Equilibrium(DMG) | メインEQ(全用途) | 精密な操作・柔軟な画面構成。信頼性。 |
thEQorange(MAAT) | マスター補正/リズム処理 | 高精度処理用。操作性に癖あり。 |
Medusa(Pulsar Modular) | 音楽的な付加/加算用途 | 色付け専用。明確な質感変化あり。 |
🎚 第2章:コンプレッサー編
自分の判断基準
- 色付けの有無・質感で使い分け。
- トラック用は素早く扱えるか/無駄な癖がないかを重視。
- Busやマスターでは粘り/厚み/透明感のバランス。
- 「マルチバンド」「自動調整系」はあくまで補助的に使用。
使用中の製品と用途
用途 | 製品 | コメント |
---|---|---|
トラック用(汎用) | DMG TrackComp | 素直で操作も軽く、癖の少ない万能選手。1176やLA-2Aモデルもあり。 |
トラック用(色付け) | Pulsar Modular P11 Abyss Acustica El Rey | Abyssはニュアンスの付加に優れる。El Reyは粘り感と滑らかさが良く、ボーカルにも使用。 |
トラック用(無色系) | Sonible smart:comp | 色付けしたくない音源に使用。利用できるシーンが多く、とても便利。 |
Bus用 | Cytomic The Glue | SSL Gバス系、軽量で扱いやすい。 |
マスター用 | Tone Projects Unisum | 精度・音楽性ともに高く、設定次第でナチュラルにも重厚にもできる。 |
🔧 今後の補強候補(Bus用途)
製品 | 特徴 | 導入を検討している理由 |
---|---|---|
Novatron(Kush Audio) | アナログ感のある倍音と太さ。 | パンチが必要なトラックバスに向く。音の太さが自然に加わる。 |
🔧 第4章:補助系(ディエッサー/トランジェント/ゲート など)
自分の判断基準
- “整える”系の処理には即応性と透明感を重視。
- トランジェント系はLoFi演出には使わず、あくまでアタックや密度の調整用。
- ゲートやエキスパンダーも基本的に「静かに整える」用途で使用。
- 多機能系よりも、目的ごとに最適化されたツールを好む。
使用中の製品と用途
製品 | 用途 | コメント |
---|---|---|
Sonnox Oxford Envolution | トランジェント調整 | 使い方次第でEQ的にも聴かせ方が変わる。制御が直感的。 |
TBProAudio Trinity Shaper | トランジェント+マルチバンド | 抑える・出すの両方に対応。万能型だが目的を決めて使うのが◎。 |
ADPTR Sculpt | トランジェント+EQ+サチュレーション | 多用途だが、主に中低域のアタック調整で使う。 |
DMG TrackGate | ゲート処理全般 | 無色・高機能・安定。特にボイスやナレーションに信頼性高い。 |
🔊 第5章:空間系(リバーブ/ディレイ)
自分の判断基準
「音に場所を与える」ことを意識し、質感と定位のコントロールを主目的とする。
ボーカルや主要楽器が埋もれず、かつ空間の広がりを自然に感じられるような処理を重視。
リバーブは“空気感”と“距離感”を作るためのツール。ジャンルによって使い分けはするが、基本的には音楽に溶け込む自然さを大切にしている。
ディレイは“空間の奥行き”や“ノリ”を演出するために使用。あくまで演出意図に沿った配置が最優先。
「派手な演出」よりも「存在を自然に感じさせる」方向を好む。
使用中の製品と用途
分類 | 製品名 | 主な用途・特徴 |
---|---|---|
リバーブ | LiquidSonics系(複数) | 自然な空気感/高品位。ボーカルやアンサンブルに溶け込ませる処理に。 |
リバーブ | LX480 | Lexicon系の“音楽的”な響き。80〜90年代的な奥行き感の演出にも。 |
ディレイ | UVI Relayer | 制御性が高く、グルーヴや定位を丁寧に作りたいときに使用。 |
🔊 第6章:定位・広がり系(ステレオイメージャー/モジュレーション)
自分の判断基準
広がりの演出は、「横に広げる」より「自然に配置する」ことを重視。
広げすぎて音が薄くなったり、モノ互換性が失われたりするのを避けるため、慎重に扱う。
ステレオイメージャーは広がりの補正・微調整用、モジュレーション系は動きや厚みの付加に限定使用。
安易な“広がって聴こえるだけの処理”は避け、「音の芯」を意識して選定している。
使用中の製品と用途
分類 | 製品名 | 主な用途・特徴 |
---|---|---|
ステレオイメージャー | StageOne(Leapwing) | ステレオ感を保ったまま自然に広げる。高解像度で安全性も高い。 |
ステレオイメージャー | CenterOne(Leapwing) | センター/サイドの明瞭な分離・補正に使用。狙った調整がしやすい。 |
📏 第7章:リファレンス・メータリング系
自分の判断基準
客観的に聴き比べ・計測ができる環境を整えることが大切と考えている。
使用中の製品と用途
分類 | 製品名 | 主な用途・特徴 |
---|---|---|
リファレンス再生 | Metric AB(ADPTR) | オリジナル vs 参考音源のA/B切替。周波数・ステレオ情報の比較も。 |
メータリング | Vision 4X(Plugin Alliance) | 高解像度のマルチアナライザー。波形や位相も詳細に確認可能。 |
メータリング | VUMT Deluxe(Klanghelm) | アナログライクなVUメーターで、視覚的な感覚補助として使用。 |
メータリング | DRMeter Mk2(MeterPlugs) | ダイナミックレンジやマスタリング工程での仕上がり把握に。 |