Native Instruments社が2019年5月28日“TRAKTOR DJ 2″を発表しました。
そのTRAKTOR DJ のiOS用最新App『TRAKTOR DJ 2(以降 新版)』を、旧版『TRACTOR DJ for iPad(以降 旧版)』と比較していきます。
Appが無料になった!
まず大きな違いが、Appが無料になったことだと思います。
旧版は\1,200、「SuperSlicer」は \240のApp内課金だったと記憶しています。
しかし新版は”無料”、App内課金なしで、機能制限もありません。太っ腹です。
それでは、比較開始!!
画面を開いたらいきなり違う!! ~ジョグホイールの復活~
Appを起動したら、いきなり面喰いました。
上下にひとつずつデッキが配置されている”のみ”の旧版も当時面喰いましたが、独創的で斬新なユーザインタフェース(UI)だと感激もしました。
その画面が立ち上がることを予想していたので、”よくある”ジョグホイールを有した新版の画面は、逆に驚きました。
Native Instruments社の方針変更なのでしょう。
PCDJで用いるDJコントローラーも、新機種はみなジョグホイールが復活しています。
コントロール類は普通の位置になった
旧版は右側に集められていたコントロール類が、DJコントローラーと同様で中央に配置されました。
旧版では縦向きについていた「再生」「ストップ」「ループ」「EQ(イコライザ)」「FX(エフェクト)」、そしてクロスフェーダーですが、普通の位置にあります。
他のDJ Appとの差別化はなくなった感じです。
波形表示は『TRAKTOR DJ』らしさを残す
波形表示は新旧同様に、縦2列に表示されています。djayなどは左右、ジョグホイールの上に表示されていますが、ここはNative Instruments社のこだわりなのでしょう。
上に再生中の付近の拡大波形、その下に全体の波形が配置され、 波形の中にはホットキューが表示されます。リアルタイムに作成、削除が可能なのは変更ありません。
コントロールデッキのインタフェースは大きく変更
旧版はFX、EQの各ボタンを押すと、コントロールデッキが登場します。FXはDelay、Flanger、Gaterを選択し、XYパッドを指で動かして操作します。 EQではFilterと各バンドのEQを調整できます。
新版ではXYパッドが廃止され、リボンバーになりました。FilterもFXにまとめられています。
EQは常時表示され、DJ ミキサーのように中央にダイヤル形式で配置されました。
2本指でループは廃止されてしまった!!
旧版の売りの一つと言ってよい、「ループ中に2本指で画面に触れることで、ループを指定!!」の機能がなくなってしまいました。
一点をタッチしてピンポイントの「ドドドド!」といったループをかけたり、2本指でスタート・ストップポイントを指定してループできたりと、iPadのUIを最大限利用した機能だと思ったのですが、なくなってしまったようです。
ループボタンを押してのループは、新旧存在しますが、新版のほうがループの長さが分かりやすくなっています。
テンポについてはスライダーがついた
上のマスターテンポボタンを押すことで輪っかが出てきて、マスターテンポの調整ができるのは変わっていません。各デッキのSYNCボタンがオンになっていると、デッキのBPMが追随するところも同様です。
変更されたのは、ジョグホイールのとなりにスライダーが追加されたことです。
TRAKTOR DJ で需要があるのかはわかりませんが…
旧版では、テンポの変更は”Tap Tempo”機能でも行えましたが、UIの変更に伴って削除されたようです。
名称は変わっても、Recommended Tracksは健在
類似したBPMやKeyの曲を選んで表示してくれるRecommended Tracks機能は健在です。
ブラウジング(曲選択)用の画面に大きな変更はありませんでした。 iTunesライブラリが利用できます。
SoundCloud GO+ (※)との連携が追加されましたが、現在日本では利用できないので、日本での利用としては変わらないことになります。
※SoundCloud Go+は現時点ではこのリンクに記載の国・地域でのみ利用が可能です。
MixCloudとの連携が、新版では確認できませんでした。
その他機能はほぼ同様
FreezeモードとFLUXモードについては新旧同様です。
ただし、Freezeモードで使えた『Super Slicer』は廃止されたようです。
旧版と同じ仕様にできる!!
ジョグホイールを下にスワイプすることで、波形表示を全画面にできます。
こうすることで旧版のコントロールに慣れている人は、新版を使うこともできます。
ただ、Playボタン、CUEボタン、クロスフェーダーなどが画面下側に変更されています。
右横に慣れた旧版ユーザーは戸惑うことでしょう。
私も、上下の波形と左右のボタンで混乱しています。
使っていればなれることだと思いますが、それまでは多少ストレスに感じるかもしれません。
外部DJコントローラー接続状況
新版はTRAKTOR KONTROL S2 MK3、TRAKTOR KONTROL Z1、TRAKTOR AUDIO 2といったTRAKTORハードウェアと連携して使用できるそうです。
旧版もオーディオ接続はできたはず。所有していないので、情報無くてすみません。
他社製品は相変わらず動きませんね。
所有している「Pioneer DDJ-WeGO 2」では、どちらも操作できませんでした。
画面が一般的なレイアウトになったので、もしや動くかもと思いましたが、甘かったです。
無料ですからね。MIDIコントローラーを買ってもらわなきゃですよね。
無料になったことで、iPad デフォルトDJ Appになれるか?
iPadでのDJアプリ最大シェアを誇った『djay』がサブスクリプション(月額制)になった今、無料で機能制限なしで使える『TRAKTOR DJ 2』の登場は影響が大きいのではないでしょうか。
ジョグホイール画面がなく、とっつきにくい印象のあったUIも、今回のアップデートで解消されました。
iOSではDJ Appが多数出ています。その多くがPCDJ版も存在し、しのぎを削っています。
PC版『TRAKTOR DJ 2』などと、セットリストの共有やキューポイントの動機ができるので、PCDJ市場で大きなシェアを持っているTRAKTOR DJは大きなアドバンテージがあるといえます。
PC版ではSerato DJとTRAKTOR DJが大きなシェアを持つ中、Serato DJはiOS対応Appをリリースしていません。
PCDJではSeratoにおされていますが、コアなユーザーの多いTRAKTOR DJはiOSとの連携でどこまでユーザーを獲得できるか、これからの動向が楽しみです。
むすびに
新しいAppのリリースって、なんでこんなにわくわくするんでしょうね。ありがとうございます。